フライパンを購入するとき、「フッ素樹脂加工」や「テフロン加工」という加工法を目にする機会は多いのではないでしょうか。
なんとなく「使用するときに便利そう」とは思っても、その違いや役割についてはよくわからない、という方もいらっしゃると思います。せっかくフライパンを購入するのであれば、加工の知識も備えたうえで各製品を比較・検討したいですよね。
そこで今回は、フッ素樹脂加工とテフロン加工の違いやメリット・デメリットについて解説します。ぜひ、フライパン選びの参考にしてください。
テフロン加工はフッ素樹脂加工の一種!両者の違いを解説
フッ素樹脂加工やテフロン加工とは、フッ素樹脂でフライパンの表面を覆う処理のことです。フッ素樹脂加工とテフロン加工、名称はまったく違いますが、実は両者の意味に大きな違いはありません。
フッ素を配合した合成樹脂であるフッ素樹脂には多くの種類があり、テフロン加工もフッ素樹脂加工のひとつに含まれます。
名称に違いがある理由は「テフロン」がデュポン社(現ケマーズ社)の商標であるためです。デュポン社は、フッ素樹脂加工のひとつであるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を「テフロン」という名称で販売しています。そのため、フッ素樹脂加工と並び、テフロン加工という名称が広く普及するに至っています。
またテフロン加工と同様、フライパン加工によく用いられている
- マーブルコート
- ダイヤモンドコート
- チタンコート
の多くも、フッ素樹脂加工に含まれます。
フッ素樹脂加工・テフロン加工フライパンの3つのメリット
フッ素樹脂加工・テフロン加工のフライパンには、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを3つご紹介します。
メリット①食材がくっつきにくい
フッ素樹脂加工・テフロン加工のフライパンの代表的なメリットは「食材がくっつきにくい」ことです。食材がくっつかなければ焦げにくくなるため、料理に不慣れな方でも比較的簡単に扱えます。
また、食材がくっつきにくいことは、お手入れのしやすさにもつながります。フライパン表面にこびりつきが少なければ、洗う手間も省けるでしょう。
ただし、洗い方によっては表面加工を傷つけてしまうこともあるため注意が必要です。金属たわしやメラミンスポンジなどの使用は避け、優しく洗うことを心がけましょう。
メリット②軽い製品が多い
フッ素樹脂加工・テフロン加工のフライパンの多くは、アルミニウムを素材とする製品です。
同じくフライパンの素材として用いられる鉄やステンレスと比べると、アルミニウムは3分の1程度の重量しかありません。そのため、フライパンを振ったり、出来あがった料理を盛りつけたりするときに便利です。腕力の弱い方や高齢の方などが扱いやすい点もメリットといえます。
メリット③手頃な価格で入手可能
販売価格が比較的リーズナブルであることも、フッ素樹脂加工・テフロン加工のフライパンのメリットです。
鉄やステンレスの無加工フライパンと比べると、アルミニウム素材のフッ素樹脂加工・テフロン加工のフライパンは手頃な価格で入手できます。取り扱い店舗も多いため、幅広い選択肢から製品を選べるでしょう。
フッ素樹脂加工・テフロン加工の3つのデメリット
フッ素樹脂加工・テフロン加工のフライパンには、デメリットも存在します。主なデメリットを3つご紹介します。
デメリット①数年単位で買い替えが必要
フッ素樹脂加工・テフロン加工のフライパンは、定期的な買い替えが必要となります。調理や洗浄を繰り返すうちにだんだんフッ素樹脂がはがれ「食材がくっつきにくい」という本来の強みが損なわれてしまうためです。
使用環境や加工の種類によってフライパンの耐用年数は異なるものの、1~3年程度が目安となります。買い替え時期を迎えるたびに出費や手間が生じるため、日頃からよくフライパンを使用する方にとっては大きなデメリットといえるでしょう。
フッ素樹脂加工・テフロン加工のフライパンは販売価格が比較的手頃であるとはいえ、一生モノのフライパンと比べると長期的なコストパフォーマンスでは劣ることもあります。
デメリット②急激な温度変化に弱い
フッ素樹脂加工を施したフライパンには、急激な温度変化に弱いというデメリットがあります。
たとえば、調理に使用したばかりの熱いフライパンを水にかけると、フライパン本体と表面に施されたコーティングとの収縮差によって表面加工が剥がれやすくなります。一度傷がつくと、そこからどんどん加工が剥がれてしまうため、注意が必要です。
また、一定以上の高温にも弱いため、基本的に強火調理には向きません。「中火以下での調理」が推奨されている製品も多くあります。高温で長時間調理するとフッ素樹脂が劣化して剥がれやすくなるため、加熱のし過ぎには気をつける必要があります。
洗浄後、フライパンを速く乾かすために空焚きすることは絶対にやめましょう。フライパンが一気に高温になり、表面加工が剥がれてしまうだけでなく、次に紹介する有害物質が発生するリスクもあります。
デメリット③有害物質が発生するリスクがある
フッ素樹脂加工・テフロン加工のデメリットのなかでも特に気をつけたいのが、有害物質の発生リスクです。
フッ素樹脂のひとつであるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、表面温度が260℃になると劣化し始め、約360℃で分解ガスが発生するといわれています。フッ素加工のフライパンを空焚きして高温になると、フッ素樹脂が分解され、発がん物質を含む有害ガスが発生する恐れもあるため注意が必要です。
フッ素樹脂加工・テフロン加工が不安なら無加工フライパンがおすすめ
日頃からフライパンをよく使用する方にとってフッ素樹脂加工・テフロン加工は便利である一方、使い方によっては有害ガスを発生させてしまうリスクがあります。加工が剥がれることによるデメリットが気になる方も少なくないでしょう。その場合、無加工のフライパンを検討してみることをおすすめします。
調理面に一切のコーティングが施されていない無加工フライパンは、調理やお手入れ方法にポイントがあるものの、調理面の加工が剥がれることにともなうリスクを避けられます。
無加工フライパンに用いられる代表的な素材は、鉄またはステンレスです。どちらも耐久性に優れているため、一生モノのフライパンとして愛用できるでしょう。
「お手入れが大変そう」と不安に感じる方は、鉄製フライパンに比べてお手入れが簡単なステンレスフライパンがおすすめです。
フライパンを買い替える機会に、一生モノのフライパンとなり得る無加工のステンレスフライパンも検討してみてください。
まとめ
フッ素樹脂加工とテフロン加工に大きな違いはありません。テフロン加工も、フッ素樹脂加工の一種です。
フッ素樹脂加工・テフロン加工が施されたフライパンは比較的リーズナブルで、食材がくっつきにくいというメリットがあります。その反面、数年おきに買い替えが必要で、使い方によっては有害物質を発生させてしまうリスクもあるため注意が必要です。
クーベルでは、熟練の職人が手作業で仕上げる無加工のステンレスフライパンを販売しております。フッ素樹脂加工・テフロン加工フライパンのデメリットやリスクが気になる方や、一生モノのフライパンを手にしてみたい方は、ぜひご検討ください。