ステンレスフライパンでの「油ならし」。一見すると鉄フライパンでよく耳にする大変な作業のように感じますが、ステンレスフライパンなら難しい内容ではありません。
油ならしは、ステンレスフライパンの悩みに多い「食材がくっつきやすく焦げ付く」問題を解決するカギとなるものです。
この記事では、ステンレスフライパンでの油ならしについて解説し、初心者の方も簡単にできるコツを紹介します。
「油ならしってなに?」という疑問をお持ちの方や、ステンレスフライパンを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
ステンレスフライパンの油ならしとは
ステンレスフライパンでの油ならしとは、調理前に行うコーティングのことです。フライパンの表面に油の膜ができることで、食材のくっつきや焦げ付き防止になります。
鉄フライパンでの油ならしは、錆びを防ぐために油を塗り重ねたり野菜くずを炒めたりなど、大がかりなイメージがありますよね。一方、ステンレスフライパンは錆びにくい特徴があるので、使い始めの油ならし(シーズニング)は必要ありません。
毎回の調理前に行うひと工夫がステンレスフライパンの油ならしであり、食材をくっつきにくく料理できる秘訣です。
シーズニングと油ならしの違いとは?
「シーズニング」と「油ならし」の言葉自体の意味に違いはありません。シーズニングは一般的に、鉄製のフライパンや鍋を使い始める際に必要な油膜づくりのことを指します。
鉄製品にシーズニングが必要な理由は、焦げ付きと錆びを防ぐためです。鉄は錆びやすい素材のため、表面に油を馴染ませ「酸化被膜」を作って保護します。油膜を定着させるために、シーズニングは何度か繰り返さなくてはならず、調理後は食器用洗剤を使わずに洗うという特徴があります。
ステンレスフライパンもシーズニングした方が良い?
ステンレスフライパンでは、鉄製品に行うようなシーズニングをあえてする必要はありません。ステンレスは空気中の酸素や水分に強く錆びにくい性質があり、使い初めの油膜づくりなしで調理開始できる点がメリットです。
ただし、ステンレスは食材がくっつきやすい性質があるため、フライパンの焦げ付きを予防する対策は必要になります。焦げ付き予防には表面にコーティングを作ることが大切ですが、ステンレスフライパンでは調理前の油ならしで十分です。
ステンレスフライパンに食材がくっつく理由
ステンレスフライパンに食材がくっつく理由は、主に以下の3つです。
- コーティングがされていない
- フライパンの温めが十分でない
- 食材をすぐに動かしてしまう
くっつく理由がステンレスの特徴と関連していることも、「ステンレスフライパンは使い方が難しい」と言われる原因と考えられます。
コーティングがされていない
ステンレスフライパンに食材がくっつく理由のひとつは、表面にコーティングがされていないことです。一般的なフライパンに用いられるテフロンやフッ素樹脂といった加工は、食材を滑りやすくして、表面にくっつきにくくします。
ステンレスフライパンは素材そのものが調理面となっており、加工されていないものが大半です。加工されていない分、劣化することがなく、加熱しても有毒成分が発生しない安全な素材と言えます。
フライパンの温めが十分でない
温めが十分でないことも、ステンレスフライパンに食材がくっつく理由のひとつです。ステンレスは熱しにくく冷めにくいため予熱に時間がかかり、十分な温度にならないまま調理を始めてしまう場合があります。
金属の表面には吸着水という水の膜があり、食材のタンパク質やでんぷんと密着してしまうため、予熱で蒸発させることが必要です。
温め不足な状態のステンレスフライパンで調理すると、吸着水が残っている可能性が高く、くっつきの原因となります。
食材をすぐに動かしてしまう
ステンレスフライパンに入れた食材をすぐに動かしてしまうと、くっつきや焦げ付きの原因となります。一時的にくっつくのは、食材を入れた部分の温度が下がってしまうことが原因です。
「くっついてしまった!」と思いつい動かしたくなりますが、ぐっとこらえてそのまま加熱してください。しばらくすると熱が伝わり、くっつきが解消されるでしょう。
温度差を少なくするために、肉類を焼くときはあらかじめ食材を常温に戻しておくのがおすすめです。
ステンレスフライパンの油ならしのコツ
ステンレスフライパンでの油ならしのコツは、以下の2つです。
- コーティングに適した油を選ぶ
- コールドスタート法で行う
油ならしによって食材がくっついたり焦げ付いたりするのを防げると、普段のお手入れもぐんと楽になります。コールドスタート法は、難しそうな油ならしも簡単にできる方法なので、ぜひマスターしてくださいね。
コーティングに適した油を選ぶ
ステンレスフライパンの油ならしでは、コーティングに適した油を選ぶことが大切です。油には、乾性油・半乾性油・不乾性油の3種類に分けられ、コーティングには乾性油を使用します。
油の種類一覧
種類 |
性質 |
例 |
乾性油 |
空気中で固まり膜を作りやすい |
グレープシードオイル、えごま油、亜麻仁油、ひまわり油 |
半乾性油 |
乾性油と半乾性油の中間の性質 |
サラダ油、こめ油、大豆油、なたね油、コーン油 |
不乾性油 |
空気中で固まりにくく膜を作りにくい |
オリーブオイル、ごま油、椿油、ひまし油 |
乾性油は空気中で固まりやすく、ステンレスや鉄のフライパンの表面に皮膜を作るときに適した油です。グレープシードオイルや亜麻仁油は、ス―パーマーケットでも手に入りやすいので探してみてください。手に入らなければ、半乾性油でも代用できます。
オリーブオイルやごま油は不乾性油なのでコーティングには向いていませんが、油ならし後の料理で使うのは問題ありません。
コールドスタート法で行う
ステンレスフライパンの油ならしはコールドスタート法で行いましょう。コールドスタート法とは予熱をせずに調理をする方法で、ステンレスフライパンの油ならしにも適しています。
油ならしの手順は以下のとおりです。
- 冷たいフライパンにコーティング用の油を入れる
- 火にかけて油を全体になじませる
- 煙がうっすら出たら火を止めて手で触れる程度まで冷ます
油は加熱しすぎると酸化して臭いがしたり表面が油焼けしたりするため、煙が出始めた時点で火を止めます。ステンレスフライパンは熱伝導が遅いため、加熱を止めたあとは一旦コンロから離して冷ましましょう。
なじませた油は、冷ましながら乾燥することによって薄い膜ができ、頑丈なコーティングとなります。ステンレスフライパンの底を手で触れる程度まで冷めたら、油ならし完了です。
油ならしをしたステンレスフライパンは手入れも簡単
ステンレスフライパンの油ならしは、普段の手入れがしやすくなることも魅力のひとつです。油のコーティングがあるおかげで焦げ付きにくくなり、洗うときも汚れが簡単に落とせます。
調理のあとは、ステンレスフライパンが熱いうちに水につけ、中性洗剤を使いスポンジやナイロンたわしなどで洗います。表面についた汚れと一緒に、油ならしのコーティングも落とすイメージでしっかりと洗いましょう。ステンレス素材は丈夫なので、傷つきにくくゴシゴシ洗って構いません。
くっつきやすい目玉焼きや餃子、調味料などの焦げ付きも、油ならしをしていれば楽に落とすことができます。
洗ったあとは、虹色の変色や錆びを防ぐために、水気を拭き取りしっかりと乾かしてから保管してください。
まとめ
ステンレスフライパンの油ならしは、食材のくっつきや焦げ付きを防ぐために普段の調理前に行うひと工夫です。乾性油を使用し、コールドスタートでフライパンの表面に油のコーティングをしましょう。油ならし後は、フライパンを手で触れる程度に一旦冷ますことがポイントです。
油ならしや手入れのコツをつかめば、ステンレスフライパンはもっと気軽に使えるようになります。毎日の料理がより美味しく、楽しい時間になることまちがいなしですよ。
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