「鉄フライパンを使ってみたいけれど、最初のシーズニングが面倒そう」
「サビやすくてお手入れが大変なのでは」
一生モノの調理器具として憧れる鉄フライパンですが、使い始めの手間や日常のメンテナンスに不安を感じて、購入をためらっている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、面倒な準備なしで最初から使えるシーズニング不要の鉄フライパンの種類や、その仕組みについて紹介しています。焦げ付きやサビを気にせず、手軽に鉄フライパンを楽しみたいと考えている方は、特に必見の内容です。
鉄フライパンの「シーズニング」とは?なぜ不要なものがあるの?

鉄フライパンを購入した際によく耳にする「シーズニング」という言葉ですが、そもそも何のために行うのか疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、シーズニングの目的と、それが不要になる理由について紹介します。
そもそもシーズニング(空焼き・油ならし)の目的
多くの一般的な鉄フライパンには、工場から出荷されてお客様の手元に届くまでの間にサビが発生しないよう、表面にサビ止めの塗装(クリアラッカーやシリコンなど)が施されています。このサビ止め塗装を強火で焼き切って完全に落とす作業を「空焼き」と呼びます。
そして、空焼きをして剥き出しになった鉄の表面に油を染み込ませ、焦げ付きを防ぐための薄い油の膜を作る作業が「油ならし」です。この「空焼き」と最初の「油ならし」の一連の作業を総称して「シーズニング」と呼んでいます。鉄フライパンを快適に使い始めるための、いわば準備運動のようなものだと言えるでしょう。
従来のシーズニングが「面倒」と言われる理由
このシーズニング作業は、鉄フライパンを初めて使う方にとっては少しハードルが高いと感じられがちです。なぜなら、サビ止め塗装を完全に焼き切るためには、コンロの強火で20〜30分ほどフライパンを熱し続ける必要があり、その間に大量の煙やにおいが発生するからです。キッチンの換気扇を全開にしてもにおいがこもってしまうことも少なくありません。
また、近年の家庭用ガスコンロやIHクッキングヒーターには安全装置(過熱防止センサー)が搭載されていることが多く、高温になると自動的に火が弱まったり消えたりしてしまいます。そのため、「自宅のキッチンではうまく空焼きができない」と悩む方が増えているのです。
どうしてシーズニングが不要になるの?
そうした悩みを解決するために生まれたのが、「シーズニング不要」の鉄フライパンです。メーカー側であらかじめ特殊な加工を施すことで、サビ止め塗装を塗らなくてもサビない状態を作り出したり、工場でシーズニング作業を済ませてから出荷したりする技術が発達しました。
これにより、お客様自身による空焼きや最初の油ならしを省略できるようになりました。届いたらすぐに洗って使い始めることができるため、これまで鉄フライパンを敬遠していた方でも、手軽に本格的な鉄の調理を楽しむことができるようになっています。
最初から使える!シーズニング不要な鉄フライパンの「種類」

一言でシーズニング不要といっても、その加工の仕組みによっていくつか種類があります。それぞれの特徴を知ることで、ご自身のライフスタイルに合ったフライパンを選びやすくなるでしょう。
ここでは、代表的な3つの種類について詳しく紹介します。
窒化加工(窒化鉄)|サビにくくお手入れが圧倒的に楽
近年、特に人気を集めているのが「窒化加工」が施された鉄フライパンです。窒化加工とは、鉄の表面に窒素を浸透させることで、鉄そのものを極めてサビにくく、かつ丈夫に変化させる特殊な処理技術です。航空機や自動車の部品にも使われる高度な技術を応用しています。
この加工を施したフライパンは、素材自体がサビにくいため、出荷時のサビ止め塗装が必要ありません。そのため、最初の空焼きが不要になります。さらに、表面が硬く傷つきにくくなるため、鉄フライパンでありながらサビを気にせず気軽に日常使いできるのが最大の魅力です。窒化加工 フライパン シーズニングの手間がなく、お手入れも簡単なので、初心者の方に最もおすすめできる種類だと言えるでしょう。
ハードテンパー加工|職人があらかじめ焼き入れを済ませたもの
「ハードテンパー加工」とは、フライパンを製造する最終工程において、メーカーの職人が700度以上の高温のバーナーで焼き入れを行い、さらに油に浸して最初の油ならしまで完了させているものを指します。
お客様の代わりに面倒なシーズニング作業をメーカー側がすべて済ませてくれているため、手元に届いたら軽く洗うだけで最初から使えるのが特徴です。昔ながらの鉄フライパンの使い心地を残しつつ、使い始めの手間を省きたい方に適しています。ただし、窒化加工ほどの強い防サビ効果はないため、使用後はしっかり乾かして油を塗るなど、基本的な鉄のメンテナンスは必要になります。
シリコン樹脂塗装|使いながら鉄肌を育てていくタイプ
スーパーなどで販売されている比較的安価な鉄フライパンによく見られるのが、表面に食品衛生法に適合した「シリコン樹脂塗装」を施しているタイプです。この塗装によって流通時のサビを防いでいるため、最初の空焼きは不要で、そのまま使い始めることができます。
ただし、この樹脂塗装はフッ素樹脂加工のような焦げ付き防止の役割を果たすものではなく、永久的なものでもありません。調理を繰り返していくうちに少しずつ剥がれていきます。塗装が剥がれた部分から本来の鉄肌が露出するため、そこからはしっかりと油をなじませて、自分自身でフライパンを育てていく必要があります。
窒化加工の鉄フライパンを選ぶメリット

数ある種類の中でも、40〜60代の「お手入れの負担を減らしたい」「でも本格的な料理を楽しみたい」という方には、窒化加工の鉄フライパンが特におすすめです。ここでは、そのメリットを具体的に紹介します。
買ってすぐに本格的な調理を始められる
窒化加工の鉄フライパンは、大量の煙を出しながら空焼きをする必要がないため、キッチンのにおいや換気を気にする必要がありません。IHクッキングヒーターをお使いのご家庭でも、安全装置の作動を気にすることなく、パッケージを開けて洗ったらすぐに使い始めることができます。
鉄フライパン 最初から使えるという手軽さは、忙しい毎日の食事作りにおいて大きな助けとなるでしょう。思い立ったその日から、鉄ならではの高火力でパリッと香ばしいステーキや、シャキシャキの野菜炒め、お米一粒一粒がパラパラに仕上がる本格的なチャーハンを楽しむことができます。
使用後の「油塗り」が不要で保管が簡単
一般的な鉄フライパンは、使用後に洗ったあと、サビを防ぐためにキッチンペーパーなどで薄く油を塗ってから保管する必要があります。しかし、サビに極めて強い窒化加工のフライパンであれば、この「保管前の油塗り」が不要な場合がほとんどです。
調理後は、フライパンが温かいうちにお湯とタワシ(またはササラ)を使ってサッと汚れを落とし、火にかけて水分を完全に飛ばすだけでお手入れが完了します。油を塗る手間が省けるだけでなく、収納場所が油でベタつく心配もないため、キッチンを常に清潔に保つことができます。
フッ素樹脂加工と異なりコーティングが剥がれず長持ちする
これまでフッ素樹脂加工のフライパンを数年おきに買い替えてきたという方は多いのではないでしょうか。フッ素樹脂加工は焦げ付きにくい反面、強火での使用や金属ヘラの使用によって表面のコーティングが劣化し、次第に焦げ付くようになってしまいます。
一方、窒化加工の鉄フライパンは、表面に何かを塗ってコーティングしているわけではなく、鉄そのものの構造を変化させています。そのため「コーティングが剥がれる」という概念がなく、適切にお手入れをすれば買い替えることなく、一生モノとして長く使い続けることができます。
| 特徴 | 窒化加工の鉄フライパン | フッ素樹脂加工 |
|---|---|---|
| 使い始め | 洗ってすぐ使える(シーズニング不要) | 洗ってすぐ使える |
| 耐久性 | 半永久的(コーティング剥がれなし) | 約1〜3年(コーティングが剥がれる) |
| 火加減 | 強火調理が得意 | 中火以下が推奨(高温に弱い) |
| サビにくさ | 非常にサビにくい | サビない |
窒化加工フライパンの使い始め方(簡単3ステップ)

鉄フライパン 油ならし 不要と言われている窒化加工フライパンですが、最初の空焼きが不要なだけであり、食材が焦げ付かないようにするためには、調理前に油をしっかりとなじませる「油返し」という工程が必要です。鉄の表面には目に見えない微細な凹凸があり、そこに油が入り込んで薄い膜を作ることで、食材のタンパク質が鉄にくっつくのを防いでくれるのです。
ここでは、初めて使う際や毎回の調理前に行う具体的な手順を3つのステップで紹介します。
- 中性洗剤でサッと洗い、ホコリを落とす
- 水気を飛ばし、多めの油で「油返し」を行う
- 油がなじんだら食材を入れて調理スタート
ここからはそれぞれのステップについて、詳しく説明していきます。
1.中性洗剤でサッと洗い、ホコリを落とす
新品のフライパンを使う前は、表面についている製造時や梱包時のホコリを落とす必要があります。スポンジに少量の中性洗剤をつけて、フライパン全体をやさしく洗い流してください。強い力でゴシゴシと擦る必要はありません。洗い終わったら、布巾などで水気を軽く拭き取ります。
2.水気を飛ばし、多めの油で「油返し」を行う
フライパンを中火にかけ、残った水分を完全に飛ばします。フライパンがしっかりと温まったら、多めの油(お玉一杯、または大さじ2〜3杯程度)を入れます。
火を弱め、フライパンをゆっくりと傾けて回しながら、内側の表面全体に油を行き渡らせるようにします。油がサラサラになり、フライパンの表面からうっすらと煙が立ち始めるまで約2〜3分ほど加熱して油をなじませます。この作業を「油返し」と呼びます。
3.油がなじんだら食材を入れて調理スタート
フライパン全体に熱と油がしっかりとなじんだら、火を止めて余分な油をオイルポットや別の容器に戻します。その後、実際に調理に使う分量の新しい油(大さじ1程度)をフライパンに入れ、中火程度で食材を投入して調理を始めましょう。
この「油返し」は使い始めの時だけでなく、毎回の調理前に行うことで、食材の焦げ付きを劇的に防ぐことができます。少し手間に感じるかもしれませんが、鉄フライパンを使いこなして美味しい料理を作るための大切なルーティンとして、ぜひ習慣にしてみてください。
鉄フライパンとステンレスフライパン、どちらがおすすめ?

シーズニングが不要で長く使えるコーティングフリーのフライパンをお探しの方には、鉄フライパンに加えて「ステンレスフライパン」も非常に魅力的な選択肢となります。
ここでは、それぞれの素材の特徴を比較し、ご自身の料理スタイルに合わせた選び方について紹介します。
ステンレスフライパンもシーズニング不要で長持ち
ステンレスフライパンも、鉄フライパンと同様にフッ素樹脂コーティングなどが施されていないため、一生モノとして長く愛用できる丈夫な調理器具です。また、ステンレスは元々サビに非常に強い素材であるため、使い始めの空焼きやサビ止め塗装を落とすといったシーズニング作業は一切必要ありません。
調理前の十分な予熱と水滴テスト、そして油ならしさえ行えば、お肉やお魚を焦げ付かずに美しく焼き上げることができます。調理後に洗剤を使ってしっかり洗えるのも嬉しいポイントです。
炒め物や焼き色重視なら「鉄」、煮込みや酸味のある料理なら「ステンレス」
鉄フライパンは、熱伝導率が高く強火での調理が得意です。野菜から出る水分をサッと飛ばしてシャキシャキの野菜炒めに仕上げたり、お肉の表面に香ばしい焼き目をつけたりするのに最適だと言えるでしょう。
一方、ステンレスフライパンは蓄熱性と保温性に優れており、一度温まると食材を入れても温度が下がりにくいのが特徴です。じっくり中まで火を通す煮込み料理や、ハンバーグなどをふっくらジューシーに焼き上げるのに向いています。また、酸に強い素材なので、トマトソースやビネガーを使った酸味の強い料理も気にせず作ることができます。
ご家庭でよく作る料理のジャンルに合わせて、得意分野の異なる2つの素材を使い分けるのが、家庭料理をさらに美味しくする最もおすすめの方法です。
まとめ

鉄フライパンのシーズニング(空焼き・油ならし)は、慣れない方にとっては手間に感じやすい作業ですが、窒化加工などの特殊な処理が施されたフライパンを選べば、その面倒な準備を省略することができます。
シーズニング不要の鉄フライパンは、買ってすぐに本格的な調理が始められるだけでなく、サビに強いため日常のお手入れも格段に楽になります。コーティングの剥がれを気にせず、強火でサッと炒めたり、香ばしく焼き上げたりと、鉄ならではの美味しさを存分に楽しむことができるでしょう。
長年愛用してきたフッ素樹脂加工の買い替えに疲れ、一生モノの道具を育ててみたいとお考えの方は、ぜひこの機会に使い勝手の良い窒化加工の鉄フライパンを試してみてください。
あなたの調理スタイルに合うクーベルのフライパンをぜひチェックしてみてください。


